コラム一覧に戻る
スポーツ全般

ピッチャーのスタミナ強化|終盤でも球威を維持する科学的トレーニング5選と週間プログラム

2026.02.20
ピッチャーのスタミナ強化|終盤でも球威を維持する科学的トレーニング5選と週間プログラム

投手のスタミナ不足を解消する科学的アプローチ。有酸素能力・筋持久力・投球効率の3要素を改善するトレーニング5選、試合でのペース配分戦略、年代別投球数管理まで網羅。

📌 この記事の結論

投手のスタミナは「有酸素能力」×「筋持久力」×「投球効率」の掛け合わせです。MLBスタットキャストの統計では、先発投手の球速は6回以降に平均2-3km/h低下しますが、サイ・ヤング賞レベルのトップ投手の低下幅は1km/h以下。本記事では、終盤でも球威を維持するためのトレーニング5選と、試合でのペース配分戦略を科学データに基づいて解説します。

✅ この記事で得られる知識
  • 終盤にバテる3つの原因と、それぞれの科学的な対策
  • 投手専用の有酸素・筋持久力トレーニング5選
  • プロが実践する試合でのペース配分戦略
  • 年代別の投球数管理ガイドライン(NPB/ASMI準拠)
  • AI動画分析でフォーム効率を数値化する方法

なぜ終盤にバテるのか?——3つの科学的原因

原因を正しく特定することが改善の第一歩

原因症状メカニズム対策
心肺能力の不足イニング間に息が上がる、心拍が戻らない酸素供給が追いつかない有酸素トレーニング
筋持久力の低下腕が重くなる、球速が3km/h以上低下筋肉のグリコーゲン枯渇筋持久力トレーニング
投球効率が悪い力んでいる、フォームがバラバラ無駄な筋出力でエネルギー浪費フォーム効率化

🔬 研究データ:フォーム効率と疲労の関係

ASMI(アメリカスポーツ医学研究所)の研究では、運動連鎖の効率が悪い投手は、同じ球速を出すのに約20%多くのエネルギーを消費している。つまり、70球で同じ疲労度に達する効率の良い投手に対し、効率の悪い投手は56球程度でバテてしまう計算になります。


スタミナ強化トレーニング5選

トレーニング1:投手専用HIIT(高強度インターバル)

目的: 「高強度→回復→高強度」を繰り返す投手のリズムに合わせた心肺強化

投球は「20-30秒の全力動作を9回繰り返す」スポーツです。マラソン的な持久力より、短時間の爆発的動作からの回復力が重要。

メニュー:

  1. ウォームアップ: 軽いジョギング3分
  2. 30秒全力ダッシュ → 60秒ジョギング × 6-8セット
  3. クールダウン: ジョギング3分 + ストレッチ

頻度: 週2回 ポイント: ダッシュの距離ではなく回復の質が重要。ジョギング中に心拍が落ち着くかを確認。

トレーニング2:ポール間走(試合リズムシミュレーション)

目的: 投球→イニング間の休憩→投球のリズムを体に刻む

メニュー:

  1. ファウルポール間(約100m)をダッシュ
  2. 反対のポールまでジョギングで戻る
  3. 10往復(ダッシュ5本+ジョギング5本)

頻度: 週2回 ポイント: ダッシュは80-90%の全力で。「試合の6回裏」をイメージしながら走る。

トレーニング3:投手用サーキットトレーニング(筋持久力)

目的: 投球に関与する筋肉群の持久力を総合的に強化

1つの種目を30秒行い、15秒休憩を挟んで次の種目へ。全5種目を3周。

種目時間ターゲット投球との関連
プッシュアップ30秒胸・三頭筋リリース時の腕の加速
スプリットスクワット30秒大腿四頭筋・臀筋踏み出し足の安定
プランク30秒体幹全体エネルギー伝達の要
バンドローテーション30秒ローテーターカフ肩の安定とスタミナ
マウンテンクライマー30秒全身・心肺瞬発力と持久力の融合

頻度: 週2-3回 ポイント: 3周目で動作が崩れるなら無理しない。フォームを維持できる範囲で。

トレーニング4:LSD(ロング・スロー・ディスタンス)

目的: 基礎的な有酸素能力と毛細血管の発達

メニュー:

  • 会話ができる程度のペースで20-30分のジョギング
  • 心拍ゾーン: 最大心拍の60-70%

頻度: 週1-2回 ポイント: スピードは不要。「楽に長く走る」ことで回復力の基盤を作る。最近の研究では、投手にとって長距離走は「走り込み」としてではなく回復促進として有効。

トレーニング5:シャドーピッチング100球(投球効率化)

目的: 実球なしで投球動作の効率を高め、少ないエネルギーで投げる体を作る

メニュー:

  1. シャドーピッチング(ボールなし)で100球分の投球動作
  2. 1イニング15球のペースで、7イニング分を模擬
  3. 5イニング目以降のフォーム崩れを自覚するのが目的

頻度: 週1回 ポイント: 50球目と90球目のフォームをスマホで撮影し、AI分析で比較。疲労時のフォーム崩れパターンを特定する。


試合でのペース配分戦略

プロが実践する「3フェーズ・ペーシング」

序盤(1-3回): 80%

• コントロール重視で球数を抑える

• 変化球とストレートの配分=4:6

• 打者の傾向を観察・データ収集

• 目標: 45球以内

中盤(4-6回): 85-90%

• 序盤のデータを活用し効率的に攻める

• 「打たせて取る」投球を増やす

• 勝負どころの打者には全力

• 目標: 累計80球以内

終盤(7回以降): 95-100%

• ここまで温存した力を解放

• 決め球の精度に全集中

• 体力が残っていれば100球完投

• AI分析で終盤のフォーム崩れを事前確認

球数意識の具体的な工夫

初球ストライク率が最も重要です。データ上、初球ストライクの場合の打者の打率は約**.170**、ボールの場合は約**.280**。初球ストライクを取ることで:

  1. 有利カウントから攻められる → 配球の幅が広がる
  2. フルカウントまで行く確率が減る → 球数を節約
  3. 打者が早打ちになる → 3球以内での勝負が増える

投球数管理ガイドライン

年代別投球数ガイドライン(NPB/ASMI準拠)

年代1日上限週上限連投完全休養
小学生50球200球原則禁止週2日以上
中学生70球350球中1日以上週1日以上
高校生100球500球中3日以上週1日以上
大学生・社会人120球600球中4日以上月2日以上
※ NPB(日本野球機構)・ASMI(アメリカスポーツ医学研究所)推奨ガイドラインを参考

投球数超過のリスク

ASMIの長期追跡研究では、ガイドライン超過の投手は肘の靭帯損傷リスクが3.5倍に増加。特に成長期の選手は、「投手の肩・肘は消耗品」という意識を持つことが重要です。

スタミナを鍛えるのは「多く投げるため」ではなく、「少ない投球数で効率的にアウトを取るため」です。


栄養と水分補給戦略

スタミナは練習だけでなく、栄養でも大きく変わります。

タイミング摂取内容目的
試合3時間前炭水化物中心の食事(おにぎり、パスタ等)グリコーゲンの充填
試合1時間前バナナ1本 + スポーツドリンク即効性エネルギー + 水分
イニング間スポーツドリンク + 水(交互に少量ずつ)脱水防止・電解質補給
試合後30分以内プロテイン + 炭水化物筋肉の回復・グリコーゲン再充填

AI動画分析でフォーム効率をチェック

フォームの効率が悪いと、同じ球速でもスタミナの消耗が早くなります。AIスポーツトレーナーアプリで、疲労時のフォーム崩れを客観的にチェックしましょう。

フォーム効率スコア

運動連鎖の効率を数値化
  • ・下半身→体幹→腕のエネルギー伝達を分析
  • ・無駄な力みポイントを特定
  • ・効率改善で同じ球速を少ない労力で

疲労時変化の検出

序盤 vs 終盤のフォーム比較
  • ・腕の振り遅れを検出
  • ・体幹の傾き変化を警告
  • ・「何球目からフォームが崩れるか」を特定

週間スタミナ強化プログラム

曜日メニュー時間強度
投手用HIIT + ストレッチ25分🔴 高
サーキットトレーニング3周20分🟡 中
LSD 20-30分 + 肩周りケア30分🟢 低
ポール間走10往復20分🔴 高
シャドーピッチング100球 + AI分析25分🟡 中
チーム練習/試合🔴 試合
完全休養 or 軽いウォーキング🟢 回復

FAQ:ピッチャーのスタミナ強化に関するよくある質問

Q
長距離走と短距離走、投手にはどちらが効果的?
両方必要ですが、目的が違います。 長距離走(LSD)は基礎的な心肺能力と回復力の基盤を作り、短距離・インターバル走は高強度からの回復力を高めます。最近の研究では、投手にとってLSDは「走り込み」よりも回復促進としての効果が大きいとされています。HIIT(週2回)+ LSD(週1回)が最適なバランスです。
Q
試合中の水分補給はどうすべきですか?
イニング間に少量ずつこまめに補給しましょう。一度に大量に飲むと胃が重くなり、パフォーマンスが落ちます。スポーツドリンクと水を交互に取るのが効果的。夏場は体重の2%の水分を失うと球速が約5%低下するデータもあり、積極的な水分補給が必要です。
Q
中継ぎ・抑え投手にもスタミナトレーニングは必要?
はい、先発投手とは違う形で必要です。リリーフ投手は短いイニングで高い強度を求められ、連投も多い。そのため、HIITを中心にした「爆発→回復」のトレーニングが特に重要です。LSDよりもインターバル走やサーキットの比重を高めましょう。
Q
「走り込み」は本当に効果があるのですか?
伝統的な「毎日長距離を走る」タイプの走り込みは、最新の研究では投手のパフォーマンスに直結しにくいとされています。投球は「短時間高強度の反復」であるため、それに近いHIITやインターバル走の方が効果的。ただし、LSDは基礎的な回復力を高めるため、完全に不要ではなく、週1-2回の適度な量が推奨されます。
Q
スタミナ強化とウェイトトレーニングは両立できますか?
両立可能ですが、同じ日に高強度のウェイトとHIITを行うのは避けてください。 効果的な組み合わせは、ウェイトの日にHIITを省く、またはウェイトは午前/有酸素は午後のように分けること。筋力強化は投球効率の改善にも貢献するため、週2回程度のウェイトは推奨です。

まとめ

スタミナ強化の3本柱

  1. 1. 心肺能力の強化:HIIT + LSD で「回復力」と「持久力」の両方を鍛える
  2. 2. 投球効率の改善:フォーム効率を上げて少ないエネルギーで同じ球速を出す
  3. 3. 試合のペース配分:序盤80%→中盤85-90%→終盤の全力を残す

スタミナは才能ではなくトレーニングで確実に改善できます。大事なのは「たくさん走ること」ではなく「投球のリズムに合ったトレーニング」をすること。まずはHIITとポール間走から始めてみてください。

📱 あなたのフォーム、AIがチェックします

スマホで撮った30秒の動画をアップロードするだけ。
AIが改善ポイントを自動で分析します。

無料でフォームをAI分析する →
登録不要 30秒で結果 完全無料

📅 最終更新: 2026年2月 | 記事の内容は定期的に見直しています

AI動作解析アプリ

フォームの課題を
AIが瞬時に可視化します。

プロ級のコーチングが、スマホひとつで手に入ります。改善ポイントを数値化し、あなただけの練習メニューを提案。
Download on the App StoreGet it on Google Play
解析できること:
  • 運動連鎖の可視化
  • 重心移動のチェック
  • 改善ドリルの提案
  • 成長の記録
AI
AIスポーツトレーナー編集部
公式コラム

各競技の専門家とAIエンジニアが協力し、科学的根拠に基づいたスポーツ上達法をお届けします。