内野手の送球エラーが多い原因を科学的に解説。ステップ・握り替え・リリースの3要素を改善するドリルと、サード・ショート・セカンドのポジション別送球テクニックを紹介します。
📌 この記事の結論
送球エラーの原因の80%は「捕ってから投げるまで」の動作にあります。MLBの守備データ(Statcast 2024)によると、送球が正確な内野手は握り替えから送球までの動作のばらつきが平均選手より約40%小さいことが判明。本記事では、ステップ・握り替え・リリースの3要素を改善する具体的なドリルと、ポジション別のテクニックを科学的に解説します。
なぜ送球エラーは減らないのか?
「捕球はできるのに、送球でエラーしてしまう」「ファースト送球がワンバウンドになる」——内野手の送球エラーは、チームの失点に直結するため精神的なプレッシャーも大きい悩みです。
しかし、多くの選手が見落としているのは、**送球エラーの原因は「腕」ではなく「捕球後の動作全体」**にあるという事実です。
送球精度を決める3つの要素
MLBのStatcastデータと日本のプロ野球のトラッキングデータを総合すると、送球精度に最も影響する要素は以下の3つです:
| 要素 | 影響度 | エラー時の典型症状 | セルフチェック |
|---|---|---|---|
| ステップ方向 | ★★★ | 送球が左右にブレる | 踏み出す足が1塁を向いているか |
| 握り替えの精度 | ★★★ | シュート/スライド回転する | 4シームで握れているか |
| リリースポイント | ★★☆ | ワンバウンド・高投 | 腕の振りが毎回同じ位置を通るか |
プロ選手の送球を数値で見る
🔬 名手の送球データ
- 源田壮亮(西武→DeNA):捕球から送球までの平均時間 約1.3秒。ステップ方向のブレが±3°以内と非常に安定
- アンドレルトン・シモンズ(元MLB):深い位置からの送球速度140km/h+ながら、精度は内野手中トップクラス。秘訣は「捕球の瞬間にはすでにステップ方向が決まっている」準備力
- 共通点:どちらも「ステップ→握り替え→リリース」の3段階が極めて再現性が高い
改善ドリル1:ラインステップドリル(方向の矯正)
送球先に向かってまっすぐ踏み出す習慣をつけるドリルです。プロのショートやサードの選手が実際にスプリングトレーニングで行っている基礎練習でもあります。
やり方
- グラウンドに1塁方向へまっすぐのラインを引く(テープ、紐、ラインカーでOK)
- パートナーにゴロを転がしてもらう
- 捕球後、必ずそのライン上に踏み出し足を着地させてから送球
- ラインからズレていたら修正し、次の球で再確認
- 20球 × 3セット
上達のポイント
✅ 正しいステップ
- • 踏み出し足のつま先が1塁方向を向いている
- • 捕球→ステップ→送球の「3拍子」が一定のリズム
- • 上半身が突っ込まず、下半身から体重移動
❌ よくあるミス
- • 焦って捕球と同時にステップ → 方向が定まらない
- • オープンステップ(体が開く方向へ踏み出す)
- • 足を止めたまま腕だけで投げようとする
改善ドリル2:握り替えキャッチボール(回転安定化)
捕球後に素早く**4シーム(直球の回転)**に持ち替える練習です。握りが不安定だとボールにシュート回転やスライド回転がかかり、ファーストが捕りづらい送球になります。
やり方
- 通常のキャッチボールを行う
- 捕球した瞬間にグローブの中でボールを回す
- 人差し指と中指を縫い目に沿ってかける(4シームグリップ)
- 握り替えが完了してから送球する
- 慣れてきたらスピードを徐々に上げる
段階的レベルアップ
| レベル | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| Lv.1 基礎 | 立った状態で捕球→握り替え→送球を確認しながら行う | 10球中8球が4シーム回転 |
| Lv.2 実践 | ゴロを捕球してから握り替え→送球。通常速度で | 握り替え時間 0.3秒以内 |
| Lv.3 ゲーム速度 | ノックでランダムな打球に対応しながら握り替え→送球 | 10球中9球がストレート回転 |
握り替えの注意点
「握り替えに時間をかけすぎるとアウトにできない」と焦る選手がいますが、乱れた回転の送球はファーストが弾く可能性が高く、結果的にアウトにならないことが多いです。まずは精度重視。スピードは後からついてきます。
改善ドリル3:壁スロー(リリースの安定化)
壁に向かって投げることで、リリースポイントの一貫性を養います。一人でもできるため、自主練習に最適です。
やり方
- 壁の前(3-5メートル)に立つ
- 壁に**目印(テープなど)**を貼り、胸の高さにターゲットを作る
- 毎回同じリリースポイント(耳の横)から投げる
- 30球 × 2セット
成功の基準
- 初心者: 目印から50cm以内に10球中5球
- 中級者: 目印から30cm以内に10球中7球
- 上級者: 目印から15cm以内に10球中8球
ポジション別・送球テクニック
ポジションによって送球の角度、距離、時間的余裕が異なります。それぞれのコツを把握しましょう。
| ポジション | 1塁までの距離 | 送球の特徴 | 重要ポイント |
|---|---|---|---|
| サード | 約38m(最長) | 強い送球が必要、余裕が少ない | 体重移動を使い切ってから腕を振る |
| ショート | 約33m | 様々な体勢からの送球パターン | 「ジャンピングスロー」「逆シングル」を使い分ける |
| セカンド | 約25m(最短) | 距離は短いが角度が鋭い | 軽く投げる技術(ショートアーム) |
サードの送球テクニック
サードはダイヤモンドで最も遠い位置から最も強い送球が要求されます。
- 基本姿勢: 低い体勢から捕球し、体を起こしながらステップ
- 強い送球を投げるコツ: 体重移動(後ろ足→前足)のパワーで投げる。腕だけで投げるとコントロールが乱れる
- ランニングスロー: 打球が遅い場合、チャージしながら投げる。この時もステップの方向だけは1塁に向ける
ショートの送球テクニック
ショートは最も多くの送球パターンが必要なポジションです。
- 基本: 正面のゴロは捕球→ステップ→上半身の回転→送球
- 逆シングル(バックハンド): 三遊間の打球に対して、捕球後にジャンプしながら送球。空中で体を回転させ、着地と同時にリリース
- ランニングスロー: 体の勢いを利用して投げる際も、目線は1塁を見たまま
セカンドの送球テクニック
セカンドは距離が近いため、スローイングのコンパクトさが重要です。
- ショートアーム: 腕を大きく回さず、コンパクトに振る送球法。距離が短いので十分に届く
- ゲッツー時の送球: セカンドベースへの精確なフィード(トスorアンダースロー)が必要
- 打球に寄る意識: 打球に向かって走りながら捕球することで、送球距離を短くし精度を上げる
試合中に送球が不安定になった時の応急対処法
試合中は練習通りにいかないことがあります。送球エラーが続いた時のための即効性のある対処法です。
🔧 技術面のリセット
- • ステップをいつもより大きく踏み出す意識
- • 「とにかく腕を振り切る」ことだけに集中
- • 速い送球を諦め、山なりの確実な送球に切り替える
- • 捕球後に一呼吸置いてから送球する(0.3秒の余裕を作る)
🧠 メンタル面のリセット
- • 「次のプレー」だけに集中する(過去のエラーは消す)
- • 打球が来たら「ファーストのグローブ」をイメージしてから動く
- • 深呼吸で心拍を下げる(4秒吸って→7秒吐く)
- • 声を出す(「OK!」「来い!」など)で自分をリセット
2週間改善プログラム
毎日15分でできる送球改善プログラムです。
| 期間 | 練習内容 | 所要時間 | チェック項目 |
|---|---|---|---|
| Week 1 前半 | 握り替えキャッチボール 30球 + 壁スロー 30球 | 15分 | 4シームで握れているか |
| Week 1 後半 | ラインステップドリル 20球×2 + 壁スロー 20球 | 15分 | ステップ方向の一致率 |
| Week 2 前半 | 3ドリルの組み合わせ(各15球)+ ノック 10球 | 20分 | ノックでの送球精度 |
| Week 2 後半 | ノック中心(20球)+ AI動画分析でフォーム確認 | 20分 | 実戦での再現性 |
スマホで撮った30秒の動画をアップロードするだけ。
AIが改善ポイントを自動で分析します。
FAQ:内野手の送球エラーに関するよくある質問
まとめ:送球エラーを減らす3つの鉄則
- ステップは送球先に向かってまっすぐ踏み出す(ラインステップドリル)
- 握り替えを確実にしてから投げる(4シーム握りキャッチボール)
- リリースポイントを一定にする(壁スロー30球×2セット)
送球エラーは「感覚」の問題ではなく「動作の再現性」の問題です。3つのドリルを2週間続ければ、大幅な改善を実感できるはずです。
📅 最終更新: 2026年2月 | 記事の内容は定期的に見直しています




