ダブルプレーの成功率を上げる守備練習法を完全解説。6-4-3、4-6-3、5-4-3のパターン別に捕球から送球の足運び、ランナー回避テクニック、チーム連係ドリルまで網羅。
- ①握り替え0.8秒以内:捕球の瞬間に右手がグラブのそばにあるかで決まる
- ②二塁ベース滞在0.4秒以下:止まらずに「受けながら送る」流れを作る
- ③送球完了3.6秒以内:高校野球の一塁到達4.3秒を逆算した必達基準
ダブルプレー(併殺)とは、1つの打球で2人のランナーをアウトにする守備連係プレーです。試合の流れを一気に変える守備の花形プレーですが、成功には内野手全員の正確な足運び・送球・タイミングの同期が不可欠です。
「ダブルプレーが取れない」原因は、個人の技術だけでなく連係のズレにあることが多いため、個人練習→2人練習→チーム練習の段階的アプローチが重要です。
ダブルプレーの3大パターン
ダブルプレーにはランナーの位置と打球方向で複数のパターンがありますが、最も出現頻度が高い3パターンを理解することが基本です。
| パターン | 流れ | 出現場面 | 重要ポイント |
|---|---|---|---|
| 6-4-3 | ショート → セカンド → ファースト | 二遊間寄りのゴロ(最頻出) | セカンドの「ベースへの入り方」が成否を分ける |
| 4-6-3 | セカンド → ショート → ファースト | 一二塁間のゴロ | ショートのベースカバーの速さが鍵 |
| 5-4-3 | サード → セカンド → ファースト | 三塁線付近のゴロ | サードからの送球距離が長いため精度が求められる |
パターン別の足運び詳細
6-4-3(ショート → セカンド → ファースト)
最も頻度が高く、練習の基本になるパターンです。
ショートの動き:
- ゴロを捕球(右足の前で捕るのが理想)
- 右足に体重を乗せたまま、左足を二塁方向にステップ
- 腰を低く保ったまま、アンダーハンド〜サイドスローで二塁ベースへ送球
- 送球後は打球の行方を確認し、すぐにカバーポジションへ移動
セカンドの動き(ピボットマン):
- 打球を確認した瞬間に二塁ベースへ移動を開始
- ショートの捕球位置と二塁ベースを結んだ延長線上からまっすぐベースに入る
- 右足でベースをタッチしながらボールを受ける
- キャッチと同時に左足を一塁方向にステップ、一塁へ送球
- ランナーとの接触を避けるため、送球後にベースの三塁側に離脱
重要: セカンドが二塁ベースに入る角度が成否を分けます。正面から入ると送球がそれたときに対応できません。ショートからの延長線上を真っすぐ入ることで、多少送球がブレても体の正面でキャッチできます。
4-6-3(セカンド → ショート → ファースト)
セカンドの動き:
- 一二塁間のゴロを捕球
- 体を反転させて二塁ベースへ送球(バックハンドトスが多い)
- 距離が近い場合はグラブトス(グラブで弾くように送球)も有効
ショートの動き(ピボットマン):
- 打球を確認したらすぐに二塁ベースのショート側(三塁側)に入る
- 左足でベースをタッチしながらボールを受ける
- 右足を踏み出して一塁方向へ体を開き、送球
- セカンドからの送球が来る方向と一塁方向がほぼ一直線になるため、体の切り返しが少なくスムーズ
5-4-3(サード → セカンド → ファースト)
サードからの送球距離が最も長いため、送球精度と球速が求められます。
サードの動き:
- 三塁線のゴロを捕球。体勢が崩れやすいポジション
- 足を踏み替えてからオーバースローで二塁ベースへ送球
- 逆シングルの場合は体勢を立て直してから送球。無理な体勢で投げない
ダブルプレーが崩れる5つの原因と修正法
| 原因 | ❌ よくあるミス | ✅ 改善基準 |
|---|---|---|
| 握り替えが遅い | 捕ってから握り直しに1.2秒以上かかる | 右手をグラブのそばで待機させ、0.8秒以内に送球姿勢へ |
| ベース上で止まる | ベースの真上で完全停止してしまう | 右足タッチ→左足ステップの「流れるターン」を徹底 |
| 送球が浮く | 肩だけで投げ、ボールが高く抜ける | 下半身主導で体幹を使い、胸の高さに直線送球 |
| ベースに入る角度が悪い | 正面から直線的にベースに入る | 送球元との延長線上からまっすぐ入る |
| 焦って悪送球 | 2つ取ろうとして握り損ね・暴投 | 間に合わない場合は1アウト確保を優先 |
セカンドの送球バリエーション3種
ピボットマン(二塁ベースで中継する選手)は、打球のスピードやタイミングに応じて送球パターンを使い分ける必要があります。
パターン1:基本の踏み替え送球
- 状況: 余裕がある場合(標準速度のゴロ)
- 動き: 右足でベースタッチ → 左足ステップ → オーバースロー
- メリット: 最も正確で安定した送球ができる
パターン2:ジャンプスロー
- 状況: ランナーとの接触を避けたい場合
- 動き: ベースタッチと同時に軽くジャンプし、空中で体を一塁方向に向けて送球
- メリット: ランナーの足から離れた位置で送球できる
- リスク: 着地が不安定になるため練習量が必要
パターン3:バックステップ送球
- 状況: ランナーが突進してきて前方に投げられない場合
- 動き: ベースタッチ後に二塁ベースの外野側に1歩下がりながら送球
- メリット: ランナーの頭上をクリアに送球できる
- リスク: 送球距離がわずかに伸びるため腕力が必要
ランナー回避テクニック
ダブルプレーの最大のリスクは、一塁ランナーとの接触です。ランナーはダブルプレーを防ぐために全力で二塁に走り込んできます(時にはスライディングで妨害してきます)。
練習法:カラーコーンを使ったランナー想定ドリル
- 二塁ベース周辺にカラーコーン3つを一塁走路上に配置
- 通常のダブルプレー連係を行い、ベースタッチ後にコーンの外側にステップしてから送球
- コーンの位置を毎セットずらすことで、どの方向にランナーが来ても対応できるようにする
| 回避方向 | 使う場面 | 足の動き |
|---|---|---|
| 三塁側(外野側)に離脱 | ランナーが直線的に突っ込んでくる場合 | 左足を三塁方向にステップして送球 |
| 一塁側(内野側)に離脱 | ランナーが外側に流れてくる場合 | 右足を一塁方向にスキップして送球 |
| ジャンプ回避 | ランナーのスライディングが速い場合 | 軽くジャンプし空中で送球(上級) |
段階的練習メニュー
Stage 1: 個人ドリル(一人でできる)
ドリル1: 握り替えスピードドリル
- ボールをグラブに入れ、瞬時に握り替えて送球ポジションに入る
- 目標: 0.8秒以内 × 20回連続
- ポイント: 右手は常にグラブのそばに置く。「取ってから探す」のではなく「取った瞬間に握る」
ドリル2: フットワークドリル
- 二塁ベースを使い、右足タッチ→左足ステップ→送球姿勢の動きを素振りのように反復
- 目標: 10回×3セット、スムーズに流れるまで繰り返す
- ポイント: ベース上で止まらない。「止まったら失敗」と自分にルールを課す
Stage 2: 2人ドリル(パートナーと)
ドリル3: 正面ゴロ→二塁送球
- 1人がゴロを転がし、もう1人が捕球→二塁方向へ送球
- 回数: 8球×3セット(休憩60秒)
- ポイント: グラブを胸の前に保ち、握り替え時に目線を切らない
ドリル4: 二塁ベースターン→一塁送球
- 1人が二塁ベース付近にフィードし、ピボットマンが受けて一塁へ送球
- 回数: 左右各10回×2セット
- ポイント: 送球元からの延長線上にまっすぐ入る。正面からではなく斜めに入る
Stage 3: チームドリル(4人以上)
ドリル5: フルスケールダブルプレー練習
- ノッカー(コーチ)がゴロを打ち、ショート→セカンド→ファーストのフル連係
- 回数: 6-4-3パターン10本、4-6-3パターン10本、5-4-3パターン5本
- ポイント: 声出しを徹底。「こっち!」「ファースト投げろ!」のコミュニケーション
ドリル6: プレッシャーダブルプレー(走者付き)
- 実際にランナーを走らせた状態でダブルプレー練習
- 目標: 送球完了3.6秒以内(高校野球の一塁到達4.3秒を逆算)
- ポイント: 「一塁間に合わない」と判断したら1アウト確保に切り替える判断力も鍛える
判断力ドリル:「GDPかワンアウトか」の判断基準
ダブルプレーを取ろうとして焦り、悪送球で全員セーフにしてしまうのが最悪のパターンです。**「いつ2つ狙い、いつ1つで止めるか」**の判断基準を持つことが重要です。
| 状況 | ❌ NGの判断 | ✅ 推奨する判断 |
|---|---|---|
| 打球が弱い(前に出て捕球) | 無理に2つ狙って悪送球 | 確実に1アウト確保 |
| 走者が俊足(盗塁が速い選手) | 急いで握り替えをミス | ステップを短くして確実送球 |
| 体勢を崩して捕球 | 逆シングルからそのまま強引送球 | 体勢を立て直してから1アウト |
| 送球が逸れてきた | そのままの体勢で一塁へ投げる | まず確実にキャッチし、一塁送球を判断 |
| ベースカバーが遅れている | フィーダーに関係なく投げる | カバーの到着を確認してから送球 |
数値で見る改善基準
| 項目 | 初心者レベル | 目標基準 | プロレベル |
|---|---|---|---|
| 握り替え | 1.2秒以上 | 0.8秒以内 | 0.5秒前後 |
| 二塁ベース滞在時間 | 0.8秒以上 | 0.4秒以下 | 0.3秒前後 |
| 送球完了(捕球~一塁送球) | 4.5秒以上 | 3.6秒以内 | 3.0秒前後 |
| 送球角度 | バラバラ | 15~20度に安定 | 一定 |
時間別実践プラン
15分プラン(忙しい日のミニマム)
- ウォーミングアップ: キャッチボール 3分
- 握り替えスピードドリル: 20回×2セット(4分)
- 正面ゴロ→二塁送球: 8球×2セット(6分)
- ストレッチ: 2分
30分プラン(標準練習)
- ウォーミングアップ: キャッチボール 5分
- 握り替えスピードドリル: 20回×2セット(4分)
- 正面ゴロ→二塁送球: 8球×3セット(7分)
- 二塁ベースターン→一塁送球: 左右各10回(7分)
- プレッシャー練習: 4プレー×2セット(5分)
- クールダウン: 2分
60分プラン(大会前の集中練習)
- ウォーミングアップ: キャッチボール→ペッパー 8分
- 個人ドリル(握り替え+フットワーク): 8分
- 2人ドリル(正面ゴロ→二塁送球、ベースターン→一塁送球): 15分
- フルスケールダブルプレー(6-4-3、4-6-3、5-4-3): 15分
- プレッシャーダブルプレー(走者付き): 10分
- 動画確認・振り返り: 4分
AI分析の活用: ダブルプレー連係を撮影し、AIスポーツトレーナーアプリで分析すると、握り替え速度・ベース滞在時間・送球角度を数値化できます。「どこでロスしているか」が一目瞭然になり、改善のピンポイントが明確になります。
FAQ:ダブルプレーに関するよくある質問
まとめ:ダブルプレー上達の4つのステップ
- 握り替え0.8秒以内を徹底する。右手を常にグラブのそばに待機させる
- 止まらないターンを体に染み込ませる。ベース上で停止=失敗
- パターン別の足運び(6-4-3/4-6-3/5-4-3)を反復して無意識に動けるようにする
- 判断力を鍛える。「2つ取れるか・1つで止めるか」を瞬時に判断できるようにする
📅 最終更新: 2026年2月 | 記事の内容は定期的に見直しています




