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バドミントン

バドミントンのスマッシュが浮く原因と直し方|力学的に解説する5つの修正ポイント

2026.02.25
バドミントンのスマッシュが浮く原因と直し方|力学的に解説する5つの修正ポイント

バドミントンのスマッシュが浮いてしまう原因を力学的に解説。ラケットの角度・打点の高さ・体重移動の5つの観点から、浮きの直し方と練習ドリルを具体的な数値で紹介します。

📌 この記事の結論

スマッシュが浮く最も多い原因は「打点が低い(または後ろすぎる)」と「ラケット面が下を向いていない」の2点です。スマッシュは「力を入れること」より「正しい打点でラケット面を約30〜45度下向きにすること」の方が直接的な解決策になります。この記事では力学的な観点から浮きの原因と修正ポイントを解説します。

バドミントンのスマッシュが浮くとは?:力学的な定義

バドミントンのスマッシュが浮くとは、打ったシャトルが目標より高い弾道を描いて飛んでしまい、相手に返球しやすい球になってしまう現象であり、ラケット面の角度・打点の位置・スイング軌道のいずれかまたは複数に問題があることを示す。

理想的なスマッシュの弾道角度は、コートの水平面に対して約30〜45度の下向きです。これより弾道が浅い(水平に近い)場合を「浮いている」状態と定義します。スマッシュの速度が速くても弾道が浅ければ相手に攻撃のチャンスを与えてしまいます。

スマッシュが浮くことで生じるデメリット

デメリット具体的な影響
相手にカウンターを打たれる相手が踏み込んで強打できる高さになる
得点できないネットの上を通過しても相手コートで跳ねる前に返球される
疲労の無駄スマッシュは体力消耗が大きい動作なのに得点に繋がらない
試合でのプレッシャーが増す「スマッシュが武器にならない」という心理的な弱点になる

原因1:打点が低い・後ろすぎる(最多原因)

打点の低さは、スマッシュが浮く最も多い原因である。

打点が低いと、物理的にラケット面を下向きにしてシャトルを打つことが不可能になります。なぜなら、シャトルが体より低い位置にある状態で面を下に向けると、シャトルはネット下に向かって飛んでしまうため、無意識に面を起こしてしまうからです。

理想の打点の位置

基準数値・目安
高さ腕を伸ばした最高点(頭上30〜40cm)
前後体より約20〜30cm前方
左右利き手の肩の延長線上(体の中心より少し右側)

Good/Bad 打点の比較

項目❌ 浮きが出る打点✅ 理想の打点
高さ肩より低い・肘と同じ高さ腕を完全に伸ばした最高点
前後位置体の真上または後ろ体より20〜30cm前方
タイミングシャトルが落ちてから打つシャトルが最高点を過ぎる前に打つ

改善ドリル:打点マーキング

  • 壁に目印(テープなど)を頭の30cm上に貼る
  • その目印に向かってラケットを伸ばし、目印の高さで止める素振りを繰り返す
  • 10回×3セット、正しい打点の感覚を体に染み込ませる
  • 難易度: ★☆☆ 目的: 正しい打点の感覚習得

原因2:ラケット面が下を向いていない

ラケット面が垂直または上向きの状態でスマッシュを打つと、シャトルは物理の法則に従って上方向に飛んでいく。

ラケット面の角度とシャトルの角度の関係は、入射角と反射角の関係に近いものです。ラケット面が地面と平行(水平・0度)であれば上向きに、90度(垂直)であれば真横に、下向き45度であれば斜め下に飛びます。

ラケット面の角度と弾道の関係

ラケット面の角度シャトルの飛び方スマッシュとして
水平(0度)真上に飛ぶ× 完全に浮く
斜め(30度下向き)斜め上に軽く浮く△ やや浮く
45度下向き(理想)斜め下に鋭く飛ぶ◎ 理想的なスマッシュ
急角度(60度以上下向き)ネット直前に落ちる× ネットミス

改善ドリル:面を意識した素振り

  • ラケットを振るときに「グリップが上・フェイス面が下」になるように意識する
  • 鏡の前で素振りを行い、インパクトの瞬間にラケット面の角度を確認する
  • 20回×3セット
  • 難易度: ★★☆ 目的: 正しいラケット面角度の習得

原因3:肘の位置が下がっている

肘の高さは、スマッシュの打点と直接関係する重要な要素である。

体の構造上、肘が肩より低い位置にあると、腕を伸ばした最高点が本来の高さより大幅に低くなります。肘が下がることで打点が下がり、結果的にラケット面を下向きにできなくなります。

肘の位置チェック

チェック方法理想の状態NG状態
肘の高さ肩の高さ以上肩より低い位置(脇が閉まっている)
テイクバック時肘が耳の横に来るくらい高い肘が胸の高さ程度
インパクト時肘がほぼ伸び切る肘が曲がったまま打つ

改善ドリル:シャドースマッシュ

  1. ラケットを持たず、スマッシュの素振りを行う
  2. テイクバック時に「肘が耳の横に来る」位置まで上げることを意識する
  3. その肘の位置からインパクトまでの動作を10回繰り返す
  4. 徐々にラケットを使って実際のシャトルを打てるようにする
  • 難易度: ★☆☆ 目的: 正しい肘の高さの習得

原因4:体重移動と腰の回転が不足している

バドミントンのスマッシュは腕の力だけで打つものではなく、腰の回転と体重移動から生まれる力を腕に伝える全身運動である。

腰の回転が不足すると、腕だけでスマッシュを打つ「手打ち」になります。手打ちの状態では、ラケット面を下に向けるためのスイング軌道が作りにくくなり、自然と面が立ち(垂直に近くなり)浮いたシャトルになります。

腰の回転量と打球の関係

腰の回転量シャトルへの影響理由
0度(回転なし)浮きやすい・威力が弱い腕だけの小さなスイングになる
30度やや浮く腕が主体のスマッシュ
45度(理想)鋭い角度で飛ぶ体幹の力が腕に伝わる
60度以上制御が難しくなる体が開きすぎてタイミングが取りにくい

改善ドリル:壁向き回転ドリル

  1. 壁を背にして横向きに立つ(ラケット側の肩が前)
  2. スマッシュのモーションで腰と肩を回転させる
  3. スマッシュの瞬間に肩が壁と平行になる(45度回転した)状態を確認する
  4. 10回×3セット
  • 難易度: ★★☆ 目的: 腰の回転量の習得

原因5:スイングの軌道(縦振り不足)

理想的なスマッシュは「縦振り(斜め下向きのスイング)」であり、テニスのサーブや野球のピッチングに近い軌道を描く。

「横振り」(ラケットが水平に動く軌道)のスウィングではシャトルが浮きやすくなります。腕が体の横を通過する軌道ではなく、頭の上から前下方へ向かう縦の軌道を意識することが重要です。

スイング軌道の比較

スイング軌道の特徴スマッシュへの適性
縦振り(正解)頭上→前方下向き◎ シャトルを鋭く打ち下ろせる
横振り体の横を通過する× 浮きやすい・威力が弱い
たたき打ちパンチのように前に出す△ 力は入るが角度が出ない

実践プラン:スマッシュの浮き改善スケジュール

15分コース(初心者・毎日の基礎固め)

時間内容意識するポイント
0〜3分打点確認の素振り(ラケットなし)「肘を耳の横・腕を最高点まで伸ばす」
3〜8分シャドースマッシュ(ラケットあり)「面を下向き45度・縦振り」
8〜13分実球練習(ノーマルスマッシュ×20本)「打点を前方・高い位置に意識」
13〜15分動画確認・フォームチェック次回の改善点を1つメモ

30分コース(中級者・習慣的な練習日)

時間内容セット数
0〜5分ウォームアップ(肩回し・体幹ストレッチ)各30秒×2
5〜10分シャドースマッシュ+腰の回転ドリル20回×2セット
10〜18分フォーム確認スマッシュ(ゆっくりと)30本(フォームを意識して)
18〜25分実球スピードアップ練習20本×2セット
25〜30分動画確認と次回課題の整理

60分コース(週末・集中練習)

時間内容詳細
0〜10分ウォームアップ+体幹強化ラケットを持たない動作確認
10〜20分打点固定練習(天井や目標を狙う)高い打点を体に覚えさせる
20〜35分フォーム改善スマッシュ(50本)各原因を意識しながら
35〜50分スマッシュ→ラリー練習実戦形式で精度を上げる
50〜60分動画確認・フォーチェックAIアプリで角度を数値確認

AIフォーム分析でスマッシュの角度を数値化する

スマッシュの改善で最も難しいのは「自分の打球が浮いているかどうかを、練習中にリアルタイムで確認できない」ことです。感覚だけで練習すると、間違ったフォームが定着してしまうリスクがあります。

AIフォーム分析アプリを使えば、スマートフォンで撮影したスマッシュ動画から「ラケット面の角度」「打点の高さ」「腰の回転量」を自動で解析し、数値として確認できます。

「肘が肩より10cm低い」「ラケット面が35度(理想は45度)」といった具体的なフィードバックが得られるため、感覚的なトレーニングから脱却できます。


よくある質問(FAQ)

Q
スマッシュが浮くのは力が足りないからですか?
いいえ、力不足が原因である場合は少数です。スマッシュが浮く原因の80%以上は「打点の低さ」か「ラケット面の角度」の問題です。力を入れても打点とラケット面が正しくなければ、シャトルは浮いたままになります。まずフォームを修正し、その後に威力アップを目指す順序が正しいアプローチです。
Q
身長が低いとスマッシュの角度が出ませんか?
身長が低くても、正しい技術を持てば十分な角度のスマッシュは可能です。実際にバドミントンでは身長が低い選手でも世界レベルのスマッシュを打ちます。ジャンプスマッシュ(打点をさらに高くするため空中で打つ技術)を習得することで、身長差を補うことができます。まずは足を地に着けた状態での打点上昇から始めましょう。
Q
スマッシュの浮きを直すのにどのくらいの期間がかかりますか?
原因によって異なりますが、打点の修正であれば週2〜3回の練習で2〜4週間で改善が見られることが多いです。ラケット面の角度や腰の回転の修正は体への定着に時間がかかり、1〜3か月プログラムで取り組む必要があります。大切なのは毎回の練習で1つの課題に絞って意識することです。
Q
フォームを意識すると逆に試合でうまく打てなくなるのですが?
それは「意識的有能(頭でわかっているが体が動かせない)」の段階です。新しいフォームが「無意識的有能(考えなくても自然にできる)」になるまで繰り返しが必要です。練習では意識してフォームを重視し、試合では「打点を高く」の1点だけを意識するようにすると、試合でもフォームが崩れにくくなります。
Q
スマッシュを練習しすぎると肩を痛めますか?
正しいフォームであれば過度な肩への負担はありませんが、フォームが崩れた状態での大量スマッシュは肩・肘への負担が増します。1回の練習でのスマッシュ本数は50〜80本を目安とし、痛みを感じたらすぐに休憩しましょう。練習前後のストレッチ(肩回し・肩甲骨はがし)を各30秒以上行うことで怪我リスクを大幅に下げることができます。

まとめ:スマッシュが浮く5つの原因と対策

原因修正のポイント優先度
打点が低い・後ろすぎる腕を伸ばした最高点・体より前で打つ最優先(★★★)
ラケット面が下を向いていないインパクト時に面を45度下向きに最優先(★★★)
肘の位置が下がっているテイクバック時に肘を耳の横まで上げる高(★★)
腰の回転・体重移動が不足打球時に腰を45度回転させる高(★★)
スイングが縦振りでない頭上から前下方への縦軌道を意識中(★)

浮きを直す最短ルートは「打点の高さ」と「ラケット面の角度」の2点に絞り込んで練習することです。この2点が改善するだけで、スマッシュの質は劇的に変わります。

📅 最終更新: 2026年2月 | 記事の内容は定期的に見直しています

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