キャッチャーのブロッキング技術を完全解説。ワンバウンドを止める基本姿勢(ダンゴムシ)、息の吐き方、左右への対応、自宅ドリル、痛くない止め方のコツまで。投手の信頼を勝ち取る鉄壁のブロッキングを作る。
- ①「止めにいく」のではなく「壁を作る」:ミットで捕るのではなく体全体で壁になる
- ②息を吐いて脱力する:力むほどボールは跳ね返る。「フッ」と息を吐いてクッションに
- ③股関節の柔軟性が命:地面と股の間に隙間ができると「トンネル」で後逸する
キャッチャーにとってブロッキング(ワンバウンド処理)は、投手の信頼を勝ち取るための最大の武器です。「あいつなら止めてくれる」と思わせれば、投手は思い切って低めに変化球を投げ込めます。逆にブロッキングが不安だと、投手は腕が振れず、ストライクゾーンが高くなり被安打が増えます。
本記事では、ブロッキングを「根性」ではなく「物理的な技術」として解説し、誰でも鉄壁になれる練習法を紹介します。
ブロッキングの基本:なぜ「前に落とす」のか
キャッチングとの違い
| キャッチング | ブロッキング | |
|---|---|---|
| 目的 | ボールを捕る | ボールを止める(前に落とす) |
| 使う部位 | ミット | 体全体(プロテクター+ミット) |
| 成功基準 | きれいに捕球できたか | 後ろに逸らさなかったか |
良いブロッキングの3条件
- ボールを吸い込む(跳ね返さない):プロテクターでボールの勢いを吸収し、真下に落とす
- 常に正面に入る:横のボールに対しても体をスライドさせて正面で受ける
- 次の動作が速い:止めた後、すぐにボールを拾って送球体勢に入れる
鉄壁のブロッキングを作る3つの技術
① 基本姿勢「ダンゴムシ」を作る
ブロッキングの基本は、ボールに対して壁を作ることです。
| 部位 | 正しい形 | 理由 |
|---|---|---|
| 膝 | 両膝を同時に地面に着ける(内側を地面に向ける) | 隙間をなくしてトンネルを防ぐ |
| 股関節 | 大きく割り、お尻とかかとを近づける | 地面との隙間をゼロにする |
| 上半身 | 背中を丸めて「ダンゴムシ」のように | ボールの勢いを吸収し真下に落とす |
| 顎 | 引いてボールを上から覗き込む | 喉への被弾を防ぐ+ボールを見失わない |
| ミット | 股間のスペースを埋めるように地面に置く | 最大の隙間である股間を「蓋」する |
| 右手 | ミットの後ろに添える(握り込まない) | 怪我防止 |
上半身の角度は60〜70度がベスト。体が反っていると(胸を張ると)ボールが跳ね返り、丸まりすぎるとボールを抑え込めません。
② ミットは「捕る」ではなく「蓋をする」
ショートバウンドに対してミットを出して捕りにいくのはNGです。ハンドリングで捕ろうとすると、イレギュラーに対応できません。
- 正しい動き: ミットを地面に叩きつけ、股間の隙間を埋める「蓋」にする
- ポイント: 親指を地面に埋める感覚。ボールはミットではなくプロテクターに当てるつもりで
- 意識: 「お皿の上にボールを乗せる」イメージ。自分の懐をボウル状のお皿にして、ボールを外にこぼさない
③ 息を吐いて脱力する
インパクトの瞬間に体に力が入っていると、ボールが硬い壁に当たって大きく跳ね返ります。
- 技術: ボールが当たる瞬間に「フッ」と息を吐き、プロテクターを柔らかいクッションにする
- 効果: ボールが勢いを失い、ポトリと真下に落ちる
- 目標: ボールが体から50cm以内、理想的には30cm以内に落ちること
コース別ブロッキングのコツ
正面のボール
- その場で両膝を着き、顎を引いてボールを見る
- 最も基本的だが油断で股の下を抜けるトンネルが多い。ミットでしっかり蓋をすること
右側のボール(右投げの場合)
- 右膝を外側に開きながら右方向にスライド
- 体の向きを右斜め前に向けることで、ボールを内側(ホームベース方向)に跳ね返す角度を作る
- 肩のラインを水平に保つことがポイント
左側のボール
- 左膝を外側に開き、体全体を左斜め前に向ける
- 同様にボールを内側に跳ね返す角度を作る
| コース | 移動方法 | 体の向き | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 正面 | その場で膝を落とす | 投手に正対 | ミットの蓋を忘れずに |
| 右側 | 右膝リードでスライド | 右斜め前向き | 肩のラインを水平に |
| 左側 | 左膝リードでスライド | 左斜め前向き | 肩のラインを水平に |
ブロッキング練習ドリル5選
ドリル1: 膝着きブロッキング(初級・形を覚える)
- やり方: あらかじめ両膝をついた姿勢から、近距離(5m)のワンバウンドを胸で止める
- 回数: 20球×3セット
- ポイント: 手を使わず、プロテクターだけで止める。「脱力+顎引き」の感覚を養う
ドリル2: リアクション・ブロッキング(中級・反応速度)
- やり方: 通常の構えからスタート。パートナーのワンバウンドに即座にブロッキング姿勢を作る
- 回数: 左右ランダム10球×3セット
- 目標: 投球から膝着地まで0.3秒以内
- ポイント: つま先重心で構えて一歩目を速く出す
ドリル3: 連続ブロッキング(上級・体力+判断力)
- やり方: 3球連続でワンバウンドを投げてもらい、止める→立つ→構える→止めるを繰り返す
- 回数: 3球×5セット
- ポイント: 起き上がりの速さも含めて練習。止めた後のボール処理まで意識
ドリル4: 自宅ドリル(壁当てブロッキング)
- やり方: テニスボールを壁に投げ、跳ね返ってきたボールをブロッキング姿勢で止める
- 必要スペース: 畳一畳分
- 回数: 20球×2セット
- 注意: マンション等では下の階への騒音に配慮してマットを敷く
ドリル5: 股関節柔軟性ドリル(毎日)
- カエルストレッチ: 四つん這いで膝を開き、お尻を後ろに引く。30秒×3セット
- 開脚ストレッチ: 座った状態で足を広げ、前に倒れる。30秒×3セット
- 目的: 柔軟性がないと地面との隙間ができてトンネルの原因に
- タイミング: お風呂上がりが最も効果的
上手い選手 vs 下手な選手の比較
| 項目 | ❌ 下手な選手(逸らす) | ✅ 上手い選手(止める) |
|---|---|---|
| 目線 | ボールから目を切る(怖い) | インパクトまでボールを見る(顎を引く) |
| ミット | 捕りにいく(ハンドリング) | 地面に埋めて蓋をする |
| 体勢 | 腰が高い、体が反る | 丸まってダンゴムシの形 |
| 呼吸 | 止めている(力む) | 「フッ」と吐いている(脱力) |
| ボール落下位置 | 1m以上跳ね返る | 50cm以内に落ちる |
| メンタル | 「来たらどうしよう」 | 「さあ来い、全部止めてやる」 |
時間別実践プラン
15分コース(一人でも可能)
- 股関節ストレッチ: 30秒×3セット(3分)
- 壁当てブロッキング: 20球×2セット(8分)
- ダンゴムシ姿勢確認(鏡で): 10回(4分)
30分コース(標準練習)
- ストレッチ: 5分
- 膝着きブロッキング: 20球×2セット(10分)
- リアクション・ブロッキング: 左右10球×2セット(10分)
- 映像確認: 5分
60分コース(しっかり強化)
- ウォームアップ+股関節ストレッチ: 10分
- 膝着きブロッキング: 20球×3セット(12分)
- リアクション・ブロッキング: 左右ランダム10球×3セット(15分)
- 連続ブロッキング: 3球×5セット(10分)
- 投手のブルペンでの実戦ブロッキング: 10分
- クールダウン+振り返り: 3分
AI分析の活用: ブロッキングフォームをAIスポーツトレーナーアプリで分析すると、膝着地までの反応速度、姿勢の低さ、ボールの跳ね返り距離を数値化できます。「痛くない・怖くない・確実に止まる」ブロッキングをデータからつくりましょう。
FAQ:ブロッキングに関するよくある質問
まとめ:ブロッキングは投手への「信頼」の証
ブロッキングは地味で痛みを伴うプレーですが、チームの勝利に直結する最も英雄的なプレーです。
- ダンゴムシ姿勢を完璧にする: 膝を閉じ、背中を丸め、顎を引く
- ミットは「蓋」として使う: 捕りにいかず、股間を埋める
- 息を吐いて脱力する: 力むほどボールは跳ね返る
- 股関節の柔軟性を毎日鍛える: 隙間ゼロの壁を作るために
あなたが体を張ってボールを止める姿は、投手だけでなく、チーム全体に「このチームは強い」と感じさせます。
📅 最終更新: 2026年2月 | 記事の内容は定期的に見直しています




