キャッチャーのフレーミング(キャッチング)技術を科学的に解説。MLBで守備指標として評価される「ストライク獲得能力」の正体とは?ビタ止め・下から入る技術・体の安定など、ボールをストライクに見せる具体的な練習法とAI動画分析の活用法。
- ✓フレーミングの定義とMLB評価指標
- ✓審判心理学と「見せ方」の科学
- ✓ビタ止め・下から入る技術
- ✓コース別フレーミングのコツ
- ✓AI動画分析でミット軌道を数値化
際どいコースをストライクにする技術、「フレーミング(Framing)」。かつては「ミットずらし」と揶揄されましたが、現在はMLBでもスタッツとして評価される最重要の守備指標です。この記事では、審判心理学から具体的なテクニック、練習法まで完全解説します。
フレーミングとは?|MLBでの評価
フレーミングの定義
**フレーミング(Pitch Framing)**とは、際どいコースへの投球を、捕球動作によって審判にストライクと判定させやすくする技術です。
フレーミングの本質
❌ 間違い: 審判を騙してボールをストライクにする
✅ 正解: 審判が正しくストライクと判定しやすいように情報を整理して提示する(プレゼンテーション)
MLBでの評価指標
MLBではトラッキングデータを使い、フレーミング能力を客観的に評価しています。
フレーミング評価指標
| 指標 | 説明 |
|---|---|
| Framing Runs | フレーミングによって防いだ/与えた失点の推定値 |
| Strike Rate Added | 期待ストライク率に対する実際のストライク率の差 |
| Called Strike Above Average | 平均的な捕手と比較した獲得ストライク数 |
※ 年間で+15〜-15 Framing Runsの差がトップと底辺の捕手間で存在
フレーミングの価値
💰 1ストライクの価値
- • 1球のストライク/ボール差 = 約0.13点の得失点差
- • 年間で+50ストライク獲得 = 約6.5点のチーム防御率改善
- • MLBではフレーミング能力が捕手のFA契約額に影響
審判心理学|なぜフレーミングが効くのか
審判も人間である
審判は完璧ではありません。研究によると、審判の判定には以下のバイアスがかかります。
🧠 審判の判定に影響する要素
捕球後にミットが動くと「ボールだったのでは?」と感じる
捕球時に体が動くと、ボールが遠かったように見える
良い音が鳴ると「芯で捕った」=「コースが良い」と感じやすい
ミットがストライクゾーンに残っていると「ストライク」と感じやすい
「見せ方」の科学
フレーミングのポイント
- ミットを動かさない(ビタ止め):捕球後にミットがピタッと止まる
- 下から入る:ボールの下からミットを出す
- 体を安定させる:頭や肩が動かない
- ゾーン内に留める:ミットをストライクゾーン内に残す
ビタ止めの技術
「良い音」vs「ビタ止め」
❌ 音重視(旧スタイル)
- • ミットを振って捕りにいく
- • 「パーン」と良い音が鳴る
- • 捕球後にミットがブレる
- • 審判には「ボール」に見えやすい
✅ ビタ止め(現代スタイル)
- • ボールの軌道にミットを置いて待つ
- • 音は小さくても良い
- • 捕球後にミットがピタリと止まる
- • 審判は「ストライク」と認識しやすい
ビタ止めのコツ
🖐️ ビタ止めの技術
ボールの衝撃を手首で吸収する。硬いと弾かれる。
肘を動かさず、手首と指だけでボールを受け止める。
力んでいると衝撃でミットが動く。リラックスして受ける。
体の前でキャッチすると、受け止めやすく安定する。
「下から入る」技術
なぜ下から入るのか
⚾ 物理学的な理由
重力に従って落ちてくるボールに対し、上からミットを被せると…
- 慣性でミットが垂れ下がる
- ミットが下に動いて見える
- 審判に「ボール」と判定されやすい
下側からミットを潜り込ませると…
- ボールの落下力をミットで受け止められる
- ミットが止まりやすい
- 審判に「ストライク」と判定されやすい
特に低めのボール
低めのフレーミング
低めのボールは「下から上に」持ち上げようとすると、審判に「ボールをストライクに見せようとしている」と思われる。ミットを下に置いて待ち、そのまま受けるのが正解。
コース別フレーミングのコツ
📍 コース別テクニック
- • 右膝を外に開いて体を寄せる
- • ミットを下から入れてビタ止め
- • 体の中心でキャッチする意識
- • 左膝を内に入れて体を寄せる
- • ミットを体の近くで受ける
- • 胸の前でキャッチする意識
- • ミットを上げすぎない
- • 肩より下でキャッチ
- • ミットを引かずにその場で止める
- • 体をやや内側に入れる
- • ミットを体の前で受ける
- • 打者の邪魔にならない位置で
体の安定性
頭と肩を動かさない
🧘 体の安定がすべての土台
ミットの技術が完璧でも、体が動くとミットも動いて見える(錯覚)。
- 頭を動かさない:視線がブレると体もブレる
- 肩を水平に保つ:片方が上がると体が傾く
- 重心を落とす:どっしり構えて安定感を出す
- 下半身を使う:膝と足でコースに対応、腕だけで取りに行かない
フレーミング練習ドリル
🏋️ フレーミング練習メニュー
- • 壁に向かってボールを投げ、跳ね返りをキャッチ
- • 捕球後にミットを1秒間静止
- • 50回×3セット
- • パートナーに四隅に投げてもらう
- • 各コースで「下から入る」を意識
- • 10球×4コース×3セット
- • わざとボールゾーンに投げてもらう
- • ミットを「ゾーン内に残す」意識でキャッチ
- • 20球×3セット
- • キャッチングを後ろから撮影
- • 捕球後のミットの動きをスロー再生で確認
- • AI分析でミット移動量を数値化
AI動画分析でミット軌跡を測る
ミット安定性スコア
- ・捕球後0.2秒間のミット移動量をチェック
- ・ブレ幅が小さいほど高評価
- ・「流れる癖」を可視化
🧘 ボディ・スウェイ
- ・捕球時に頭や肩が動いていないか
- ・体が動くとミットも動いて見える(錯覚)を検出
FAQ:フレーミングに関するよくある質問
まとめ:信頼される捕手へ
フレーミング向上の3ステップ
- 1. ビタ止めを身につける:捕球後にミットを動かさない
- 2. 下から入る:ボールの下にミットを潜り込ませる
- 3. 体を安定させる:頭と肩を動かさず、膝で調整
投手が投げた最高のボールを、最高の形で審判に見せる。それが捕手の技術であり、投手への信頼です。AI解析で「ビタ止め」技術を磨き、チームを勝たせる捕手になりましょう。
📅 最終更新: 2026年2月 | 記事の内容は定期的に見直しています




